多くの患者さんが体に機能的な問題をかかえています。機能的な問題とは、関節が正常に動くことを妨げるような筋肉の硬さや、筋力の低下、悪い姿勢や動作などのことです。ほとんどの患者さんが、これらの機能的な問題をかかえているにもかかわらず、気がついている人はほとんどいません。機能的な問題をかかえたままで日常生活やスポーツ活動を繰り返すことで、関節には無理が重なり、炎症が起きたり、ひどい場合は組織が壊されいきます。例を挙げると、野球肘や投球障害肩が典型的です。体のメンテナンス(コンディショニング)をしないまま、投球動作を繰り返すことで肩甲骨の周りの筋肉は硬くなり肩甲骨の動きが悪くなります。また、肩甲骨を安定させる筋力も低下します。さらに、股関節の可動域制限や、体幹の安定性も低下している場合もあります。このような状態では、おのずとフォームが乱れてしまい、肩や肘を壊してしまうのです。このような機能的問題を治療する手段がリハビリです。
リハビリの内容
患者さん一人一人の体の状態に合わせて、セラピストが徒手療法を行ったり、筋肉の動きを誘導したりストレッチをしたりします。また、自宅でのエクササイズも重要になってくるので、自宅で行うセルフリハビリの指導も行います。物理療法が有効だと判断される場合は、低周波やホットパックなどを併用して治療を行います。
セルフリハビリの紹介
実際に患者さんに自宅で行ってもらうエクササイズの一部を紹介します。大切なことは、痛みのある関節は無理して動かさないということです。例えば、肩が痛くて動きが悪いからといって肩を中心に動かす運動をしてしまうと逆効果になってしまうので注意してください。回数やメニューは患者さん一人一人の状態によって異なりますので、ここでの紹介はあくまでも参考程度にしてください。
肩甲帯エクササイズ
肩や肘の障害に最も影響を与えるのが、肩甲帯周囲の問題です。野球肘や投球障害肩をはじめ、五十肩やインピンジメント症候群、腱板断裂などで肩甲帯周囲の機能障害を認めます。肩甲骨周囲の筋肉が硬くなることで上肢の土台である肩甲骨運動に異常をきたし、スポーツ活動や日常生活動作において肩や肘に過剰な負荷がかかり、障害が発生していることがほとんどです。ここでは、基本的な肩甲骨のエクササイズを紹介します。